【英国メディアから#24】BBC: TV historian rejects 'nonsense' over keeping statues
2021年2/2付、BBCから、”TV historian rejects 'nonsense' over keeping statues” の記事。
本記事は、TV historian=BBC2の人気番組 “A House Through Time”シリーズ(2018年シリーズ1〜近々シリーズ4公開予定:英国内の歴史的な住居とその住民を紹介するドキュメンタリー)のPresenter: David Olusoga氏の意見を基に書かれている。
昨年5月に米ミネアポリスで、白人警官に首を圧迫されて黒人男性が死亡。この事件に端を発した、黒人差別への抗議運動、”Black Lives Matter” (BLM)は、英国でも、ブリストルなどで奴隷貿易で街の一財を築いた奴隷商人の銅像などが取り壊さるなど、騒ぎとなっている。
マンチェスター大学教授でもあるDavid氏は、「一連の銅像取り壊し騒ぎは、英国の帝国主義時代の歴史を検証する上で、全く無意味だ」。と言い切る。
ナイジェリア生まれのアフリカ系英国人である自身、1970年代の幼い頃に人種差別に遭った体験がある。「大英帝国時代(帝国主義)の【光と闇】を研究することは、経済、文化、料理、人など(主に光)の観点から、現在の英国を理解するために絶対に重要。一方で、闇とされる、奴隷貿易や植民地化搾取の問題に関しては、何かと隠す傾向にある」。
何世代にも渡り、その地に大きく貢献した人物として、記念してつくられた奴隷貿易商人の銅像は、気まぐれな暴徒のデモによって取り除かれるのではなく、大英帝国時代の歴史の闇の部分を表すものとして、慎重に保存すべきなのだ。
「英国で起こった事と、植民地で起こった事の間に、道徳的なファイヤーウォールがつくられている。後者は、重要視されていない、風潮がある。」 とDavid氏は言う。
また彼は、将来の歴史的記録のデジタルギャップについても懸念を抱いている。 政治家や意思決定者がWhatsAppのようなSNS(手軽だがすぐに消せるモノ)を使って個人的な考えを共有する方法は、将来の歴史家とって、政策がどのように行われていたかの理解を低下させるのではないか、と。
後世に残る手書きメモや手紙、メールは、舞台裏での政治家の思考への道を知る上で、重要な証拠となる。
「政治家は、彼らが下した決定に導く議論の記録を残す必要があると思う。それで、彼らは将来の歴史家によって説明責任を負っているのだから。」
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