【英国メディアから#15】BBC News: The National Trust homes where colonial links are 'umbilical'
2020年、9/20のBBCの記事、”The National Trust homes where colonial links are 'umbilical'”から。
“umbilical”とは、”へその緒”の意味。
ピーターラビットの作家:ポター氏などもサポートした英自然保護団体、”National Trust 財団”が保存する貴族の旧邸宅が英国の植民地政策にいかに結びついているか、について。
(U.Kにある300の邸宅のうち、30%が植民地支配と結びついているのだそう。)
例えば、以下。
⚫︎Charlecote Park, Warwickshire
Stratford-upon-Avon近くにある、16世紀の邸宅。1680年、当時のオーナー、Thomas Lucyを描いた肖像画の右影には、黒人奴隷の男の子が登場。当時の植民地支配の様子がわかる絵画である。
⚫︎Kedleston Hall, Derby
Kedleston's Robert Adamがデザインした湖に浮かぶ邸宅。1899 〜1905に植民地支配下インドの総督だった前オーナー、Lord Curzon氏のコレクショングッズ(象牙や虎の毛皮など)が多数ある。個人のコレクションの域を超えたそれら(V&A museumにも受け継がれているほど)は、Lucknow(植民地時代のインドで大量殺戮があった場所)での violenceが伺える。
⚫︎Speke Hall, Liverpool
テューダー朝のマナーハウス。最初のオーナーである奴隷貿易のトレーダーであった、Richard Norris氏は、1740年代奴隷貿易でリバプールに巨額の富をもらたし、繁栄させた。また、次のオーナーのRichard Watt氏もラムや砂糖のプランテーションで奴隷を働かせ、一財を築いた。(その遺産で、子孫達がこの美しい邸宅を維持管理したからこそ、今も美しい姿が残る。)
⚫︎Calke Abbey, Derbyshire
同じく、大英帝国、植民地時代の搾取品(チベットのskull cupなど)が多く残る。中でも、1870年からの世界における大英帝国の領土を赤線で示した地球儀は、象徴的だ。
これらの事例を踏まえ、Prof Fowler 氏はこう語る。
"We are now repositioning the country house as a global phenomenon that has relevance to the rest of the world and reflects connections with the rest of the world.
"It's a really important shift in our minds, because country houses are seen as epitomising Britishness."
これらの美しい貴族の旧邸宅は、(単に美しいだけでなく)英国が植民地支配で世界と結びついていた側面を再定義するもの。
イギリスの象徴でもある”country house”(別荘)であるからこそ、見る側の我々のマインドチェンジも大切なのだ、と。
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