2020/5/26 【本紹介②】未来のだるまちゃんへ(かこさとし氏)
「だるまちゃん」シリーズや「どろぼうがっこう」、「からすのパンやさん」など日本の絵本界のレジェンド、加古里子(かこさとし)さん。
私自身、かこさんの絵本と共に育ってきた。
風邪で寝込んだ時、どこか寂しい時、気がつけば、そこにはいつも、かこさんの絵本があった。
何十回読んでも楽しくて、面白くて、
お気に入りのページは今でも鮮明に脳裏に焼き付いている。
そのかこさんが、6年前(当時88歳)の晩年に出された、子ども達&親達への応援歌とも言える本書。
敗戦を経験し、それまでの世の中の価値観が一変。何も信じられず、もがき苦しむ中で、かこさんが出口を見出したのが、市井の”子どもたち”の姿だった。
正直で、的確で、感度がいい子どもたち。
内容がつまらなかったら、承知しない。
そんな子ども達を観察し続けることで、
これまでの作品を描き続けたのだそう。
【※文藝春秋「未来のだるまちゃんへ」から引用】
子どもは、生きるエネルギーを日々、空費したり、乱費したり、浪費したりしながら成長していく。あまりにもとりとめなく、行き当たりばったりで、まったく非効率的に見えるかも知れない。
ですが、その野放図で、自由で、とりとめがないことこそが実は肝心で、自分で間違えたり、失敗したりして、行きつ戻りつしながら、ぐんぐん伸びていく時にしかわからないことがある。
それが大人が頭ごなしに抑えつけてしまったら、子どもは息苦しくて、伸びるべき時に十分に伸びることができなくなってしまうでしょう。
大人が思う「いい子」の型にはめようとすると、とりこぼしてしまうものがあるのです。
100年先にも伝えられる、
普遍的なかこさんのメッセージ。
時には“だるまどん”(絵本に出てくる、だるまちゃんの父)のように、早合点で検討違いをしてしまいがちな、私達、親。
目の前の、未来のだるまちゃんの”生きる力”を限りなく信じてあげること。
生きることをうんと喜ばせてあげること。
かこさんからのバトンを、
世の中の端っこで一生懸命繋いでいきたい、と思う。
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